旧サイトより転載

2001/03/16

先輩方

数年前、帰国直後の私は、臨時で入る仕事(通訳とか翻訳ね)じゃなくてそろそろ定職に就きたいなぁと思っておった。しかし、そう簡単に見つかるものでもなく。まぁ、ダイジョブだろとは思いつつも、やはりどこかで不安は抱えてたわけで。

そんな時、私は友人内村君(仮名)とお茶をした。↑この辺の諸事情をやや不安げに語る私。そんな私を「なぐさめよう、励まそう」と思ったか、彼が唐突に話し始めた。

その瞬間以降のやりとりを記す。

彼: …Reineさん、俺さぁ、前々から思ってることがあるんだけど
私: 何?

彼: 宇宙のことなんだけどさぁ
私: う  ち  ぅ  ?

彼: そう。宇宙。あのさぁ、地球はなんで出来たと思う?
私: はい?

彼: 地球はねぇ、宇宙の進んだ人が作ったんだよ
私: は?

彼: 宇宙の他の星の人たちが作ったの、地球を
私: ふ……ぅ……ん……

彼: あのね、宇宙にはたぶんね、地球みたいな星がいっぱい作ってあるわけよ。どっかの星の進んだ人たちがいてさ、その人たちがいっぱいあちこちに作ってあるの、いろんなパターンの星を

私: は……い……。……えっと、例えば、「黒人だけの星」とか「白人だけの星」とか「黄色人種だけの星」とか……そういうことですか?


彼: おっ。わかってきたね


私: (いや、わかってませんが?)


彼: そうそう。そういうことなの。そういう星はもう、作った方々にしてみれば、「実験終了」なのね。観察結果は出ちゃったわけ。

私: ……。

彼: で、「だったらいろんな人種を混ぜた星を一個作ったらどんな風になるんだろう?」っていう試みとして、この地球を作ったのよ

私: ……そ……その人たちってのは、それじゃぁデッカいんだね? すんーーーーーーごくデッカいんだよね? 地球一個ポンと作れるくらいなんだからデカいんだよね?

彼: ん……えーーーっとね……デッカくある必要は無いんだな、これが

私: だって、それじゃぁどうやって地球を作るのよ?

彼: あのね、地球の一個や二個作るなんてのは簡単なことなのよ。先輩方の進んだ技術を持ってすればね。


私: せ  ん  ぱ  い  が  た  ?


彼: そう。『先輩方』。
私: 宇宙人のこと?
彼: うん… …うーーん…… …宇宙人という言葉で簡単にまとめて欲しくはないんだよね。『先輩方』ね


私: ………。せ、『先輩方』は何を観察するの?


彼: 「おっ、やっと火の使い方がわかりましたか」とか、「ああっやっぱり、人種を混ぜると戦争しちゃうんだな」とか、そういうことを観察日記につけてるの

私: ……。

彼: あのね、その先輩方なんだよ、地球に猫とか犬とか豚とかを入れたのは

私: へ?

彼: 地球は先輩方にとっては「箱庭」みたいなもんなんだ。観察してるだけなの

私: そうなの?! 黒人とか白人とか黄色人種とかを混ぜてまずは箱庭に入れて、それから動物たちを適当に見繕って入れてくれたってこと?

彼: そうだよ?  (※「他に何だというのか」というトーン

私: 「そうだよ?」って言われても…………。あっ、そうだ、だったらさー、あれじゃん。変じゃん。変だよ。

彼: なにが?

私: なんだか、ほら、科学の進歩はさぁ、ダーウィンの『進化論』が発表されて、それによる意識の改革ってのがデッカかったわけでしょ?

彼: (※なんか白けてる)(※お話にならない、みたいな表情)  
『進化論』なんてねぇ、Reineさん、あれ、嘘だよ? 本当だと思っちゃってた? だって、進化なんてしないんだもん。するわけないじゃん。最初っから豚は豚の形、猫は猫の形で、箱庭に入れてくれただけの話だもん、先輩方が。

私: 先輩方か……

彼: 「首が伸びてキリンに」なんて笑っちゃうよ。嘘だもん。キリンはァッ、いい? ここ大事。キリンは、先輩方がああいう首の長い動物を入れましたってだけの話だからね

私: ………そ……う……なんだ……。


私: あのさぁ、前に映画でさぁ、なんだったかなぁ……忘れちゃったけど。その中でさ、みんなで大麻とか吸ってラリってるシーンで、あれ、誰だったかなぁ、大学教授だかなんだかみたいな役の男の人がさぁ、

「我々の考えている銀河系なんてものは、巨人の爪にはさまったカスみたいなモノなのかもしれない」

みたいなことを言ってたんだけどさぁ。内村君のはそれと似た理論?


彼: お。いいこと言うねぇ。(※唸る) その人は凄いね。(※唸る)  わかってるね。(※唸る)

私: …いや、映画だけどね
彼: まぁ、でもそういう話だよ


私: あのさぁ、じゃぁ私の‘理論’ね。私ね、前々から思ってたんだけど。今、私がここにこうして例えば内村君としゃべってるってのは、『運命』みたいなもんだと思ってるのね。私がスペインに行ったことも、その前にああいう大学に入ったことも、○○県に生まれたことも、……全部全部ぜぇぇぇんぶ、ナニカによって決められていて、ドコカに書かれているものに従って我々は人生を送っているのだってことを私は前から思っ……

彼: (※遮る) いや、俺の『先輩方理論』は、『運命』とかそういう低い次元の話では無いんだ

私: ひくっ……低くないのか?『先輩方理論』は?

彼: 低くないよ  (ムッ)

私: ふぅむ…………すると、あれなの? ダーウィンが『進化論』を発表しちゃって、世界中が注目しちゃって、科学全般が一気にドーーッとそっちに向いちゃったりした時、先輩方は、


「あちゃーーーっ」


って頭抱えたりしたわけ?


彼: んーーーーーーー。別に、「あちゃーーーーーっ」では無かったんだよね。「あ。はいはい。やっぱ、こう来る?」って感じで、メモしただろうね。先輩方にしてみれば、そういうことを言い出すヤツが居るってことは、とっくに調査済みだから。他の星でね。

私: ………。

彼: だからね、Reineさん、俺の言いたいことはね。Reineさんが仕事探してて悩んだりするかも知れないけどね、簡単なことなんだよ。

あのね、

先輩方に一目置かれるような存在になれ

ってことなんだ。


私: (こっ、これが彼の結論だったのかっ)

彼: 先輩方に「おっ、なかなかやるね」って思っていただけるような、そういう人生を送れるような仕事を探していけば、答えはすぐに見つかるはずなんだ。俺も、先輩方に恥かしくないように生きたいといつも思ってるね

私: 内村君も一目置かれるのかなぁ

彼: 俺は、ほら、もうこの事実に気づいちゃってるじゃない? だから、そういう点で「一目置かれてる」だろうね。「見どころがある」って


私: ………。どれくらいだと、「一目置かれる」のかなぁ。ダーウィンは?

彼: 彼は、まぁ、一目は置かれてるだろうね、間違っちゃってはいたけどね

私: アインシュタインは?
彼: あぁ、そりゃぁもぉーーー
私: エジソンは?
彼: 当然ね

私: じゃぁ、平賀源内は?
彼: んーーーーーーーーーーーっ。平賀源内……くらいだと、どーーーーかなーーーっ? 一目置かれてないんじゃないかなーーー?

私: それって、世界的に有名かどうかの違いしか無くない?
彼: うん。でも、まぁ、そういうことなんだよね
私: ふぅん

彼: はぁ……疲れた
私: 疲れたね
彼: ちょっと呑んで一息いれよう

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


coldsweats01この会話、こうしてダイジェスト版にすると短いですが、実際は、掛け値なしに3時間ですからね。ここまで来るのに、3時間ですからね。ほんとはもっともっと奇天烈な世界が繰り広げられたんですからね。

そして続いた。


彼: それで。
俺にはわかってるんだけど。


先輩方は、既に調査員を送り込んでるね。地球に


私: え?

彼: その辺歩いてるんだよ、もう。調査員の方が。

(※と、窓の外を指差す。窓の外って、そこは高田馬場だったが)

私: 居るんだ? この辺にも

彼: 来てるね。間違いなく。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


その夜、別れ際、

彼: はぁ~ぁ。今日は、俺……大っっっ事な話、しちゃったなぁ…  滅多に人に話さないことなんだよ? よく覚えておいてね

私: ……。

彼: Reineさんもこのことを知ったからには、それだけで一目置かれるから。


大変に目が回った夜でした。 高田馬場辺りには先輩方がいらっしゃるらしいです。気づいた人、いますか?

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2000/10/03

aNAgorithm / アナゴ

1992年くらいのことだと思うのですが、友人S(=ミュージシャン)がすっごいエフェクターを購入した。ギターやらcavaquinho(=ブラジル音楽で使われる弦楽器)の音をイイ感じに変えていた。Sがそれを買ったばかりのまさにその夜に、Nisimuraと私はSのバイトしている店に行って飲んでいた。

Sが嬉しそうに我々にそのエフェクターを見せるだか、話すだかしたんだよね?>Nisimura


Sは嬉しそうに言ったんだ: 


「これさぁ、これ、すんごいのよ、このエフェクター。アナゴリズムとかもたくさんあってさぁ」


………そ、それを言うなら、S………アルゴリズム………だよ……。


以来、Nisimura夫婦の間では、頻繁にこの『アナゴリズム』という語が使われるようになったらしい。

「実はワケわかっていないんだけど、たぶんこんな感じでしょう?って思った言葉を、一か八かに近い感じで使ってみちゃうこと」を、「これはわたし的にはアナゴなんだけど」って前置きしてから話す風習ができたとのこと。



後日談

上記の私の説明を読んでNisimuraさんのコメント:

「よくもまぁ、当人たちより的確に表現したと思ったさ。あれ↑」

あと、「わかんない言葉を使われてケムに巻かれた気持ちになった時」に、「アナゴってない?」と突っ込むのに使う。

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+


まぁ、そこからだいぶ意味も拡がっちゃってね。

※「うろ覚えなんですけど」
※「裏はとってないですけど」
※「門外漢なんで、私もあんまり大したクチは叩けないんだけど」

そういう文脈でも便利に用いるようになりました。

※「アナゴですんで」
※「この辺、アナゴってます」
※「私、今、アナゴ全開っす」

などと一言ことわっておくためのフレーズです。

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