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2011/12/23

RANGER 陸上自衛隊 幹部レンジャー訓練の91日

12/10(土)は昼過ぎから忘年会だったのでその前の時間を使って、これを観てきた:

映画 【RANGER 陸上自衛隊 幹部レンジャー訓練の91日】 公式WEB
渋谷の映画館 | シアターN渋谷


先日のFestival anual de la Academia Nacional de Defensa de Japón 防衛大学校開校祭: Donna Comodonaでも書きましたが、9月のある日、何の気なしに防大棒倒しのビデオを見て以来、私の中でこういった方面の事柄がちょっとしたブームになっているというのが、一つにはあります。

それから10月に二年ぶりにようやく作動した私の“からだブーム”を維持するためにも、こういう「鍛えている人たちの姿」を見学しておこうと思ったからという、ふざけたような動機もあったかもしれません。


が、たぶんもっと大きな理由として、「なぜ彼らは耐えられるのか」というテーマが常に私の中にゆらゆらと漂っているからということが挙げられる。

たとえば防衛大学校の生活、なにも防衛大学校 - アンサイクロペディアまで読まなくたって、公式サイトの広報ビデオを見るだけで十分につらいじゃない。私などはきっと1週間もたないと思うのね。それでも彼らは耐えて卒業して自衛官になり、それだけでもつらかろうに、“わざわざ”レンジャー訓練などという、想像するだに恐ろしい環境に身を投じて、それをも乗り越えるんだよね。

私にはそれが理解できないんだよね。「なぜ耐えられるのか」と。


Tropa de Elite / エリート・スクワッド [ブラジル映画]: Cabinaを見た時にも私は書いた:

hairsalonhairsalon BOPEの訓練は一言で言うと「たいへんそう」。どれくらい「たいへんそう」かは、…ここには書かない方がいいな。ナシメントさん曰く、「イスラエルの軍隊だってここまでしごかない」って。

そして正式に働き始めてからも死と隣り合わせの、自分の正気を保つのだって容易でない厳しい任務が待っているわけでしょう? しかもお給料も高くはなくて。

だから観ながらずっと思っていたのは、この人たちを支え踏ん張らせるものの正体は何なの?っていうことだった。手っ取り早く言うと「モチベーション」というやつ。彼らはどうしてあそこまでのことをやる・できるの?って。

ネトはリオのファヴェーラにはびこる犯罪と闘うというほとんど夢のような理念をもって、BOPEなら本気でそれができると信じて志願した。マチアスは法の効力というものを信じていたからネトといっしょに入隊した。

貪官汚吏の道をちんたらと歩んで行った方がずっと楽なのに、なぜ彼ら―――ネト・マチアスに限らず隊員みんな―――は、ここまで自分を保ち奮い立たせることができるのかねhairsalonhairsalon


「なぜ彼らは耐えられるのか」という問いはそのまま「で、なぜ私は耐えられないのか」という自問なのです。私は人生のいろいろな局面であらゆるものに耐えられなかったし、これからも耐えられないだろう。

だから私は、「耐えぬいた」彼らレンジャー学生のみなさん(はもとより、自衛隊員)に対して敬意と畏怖の念を抱いているのね。それでこのドキュメンタリーを観てみたくなったというわけです。


正確なセリフを忘れたけど、「日頃から気合いがどうのこうのとやたら口にする人間じゃあないが……」と前置きをして主任教官・長尾1尉が仰るのよ、「……それでも、頭を使って技術を尽くしたうえで最後にものを言うのは気合いなんだということは、私は経験上わかっている」って。

私に欠けているのはそれなのだと思う。昔から思っているんだ、もしも大災害・大事故・大事件の場に居合わせて、生き延びようという意志こそが生死を分かつのならば、きっと私は助からないだろうって。生き抜こう、やり通そうという“気合い”が希薄だから。

で、そういう生き延びるための土壇場の努力すらも放棄しそうな私のような人間を救ってくれるのが、血反吐を吐きながら努力を重ねた自衛官のような職業の皆さんなのではないかと考えると、ありがたいようなもうしわけないような気持ちだ。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


と、たいへん興味深く鑑賞しました。
ただ、鑑賞当日にもツイートしたことですが、「訓練の様子には見入った」ものの、「ドキュメンタリー作品としては面白いと感じなかった」のです。

私も映画を知っているわけでないから何とも言えないんだが、ドキュメンタリー作品というものもシナリオは十分に練られているべきだと思うのよね。「こう見せたいからこう言わせたい、こう言わせたいからこう問いたい、こう問うためにはこう追いたい」というものを“やらせ”スレスレで周到に準備してあるドキュメンタリー作品ほど面白いものに仕上がると思うんだよ。


(昔、テレビのドキュメンタリー番組のスペインロケの取材映像を渡され、ディクテーションして翻訳するところまでを依頼された。その制作スタッフは取材対象のスペイン人の集団にただピンマイクをつけて放ち、それでぼそぼそがちゃがちゃ漏れてくる音声が私の翻訳作業のマテリアルとなっていたわけだけど、なんの“シナリオ”もなく闇雲にぶら下げられたようなピンマイクがコレぞ!という会話を都合良く拾っているわけもなく、その映像は何時間にも及ぶただの無駄話でしかなかった。

○分から○分にかけての会話のシーンを特にきちんと訳してくれという指示も先方からはあったのだが、「ここって別に何もまともなこと喋ってないですよ。この取材対象者がピンマイクで録られていることを理解した上で、『僕はこれからアナルセックスをしま~す』とふざけてるだけですよ」とか、「ここでは日本側の女性ディレクターのことを『あの馬鹿なビッチがいちいちくっついてきてウゼー』と言っているだけです」などとしか私からは答えようもなく、たいへん困ったものである。

訳す意味の無い取材テープと成り果てていた。シナリオの無いドキュメンタリー作品は、奇跡でもなければそういう泥沼に着地するものじゃないの?)


今回の『RANGER~』は、まさかそこまでひどいものでは決してないけど、“おはなし”としての山場は少なかったように思う。淡々と進みすぎていたというかね。私、終盤、トイレに行ってしまったぐらいだからね。アッサリとしすぎた感のある作りに終始したのは、“幹部”レンジャー訓練という滅多にない環境にカメラがせっかく入っているのに、もったいなかったと思う。


映画館から急ぎ忘年会に移動し、これこれこういう映画を観てきてかくかくしかじかだったと感想を述べたところ、友人の一人が「そういう映画が盛り上がっちゃうとそれはそれでメンドーなことになったりするからじゃないの?」と言った。

なるほどそうかもしれないよね。このドキュメンタリーが荘重な調べを奏で、涙涙涙で歌い上げられ、劇的に締めくくられていようものなら、平和平和(ピンフじゃないよ)とがなりたてる皆さんなんかがまたガーガーと雑音をかぶせてくるかもしれないじゃんね。

そんなシチメンドクセー日本の国で、「陸上幕僚監部広報室 陸上自衛隊富士学校広報班」の“協力”と銘打った作品を撮ろうとすると、これくらいなだらかに作っておかないといけなかったのかもしれない。そんな気苦労もあったのかもしれません。

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コメント

たとえば、こういったバラエティー番組があったのね:
例) "落武者 自衛隊でレンジャー訓練1 - YouTube"
http://www.youtube.com/watch?v=Vug-Knd7nTE&feature=related
例) "(3-11) 『爆笑レッドカーペット』'10.8.1 カーペット調査隊 筋肉芸人の筋肉は本物なのか?"
http://v.youku.com/v_show/id_XMTk1MDk2MTYw.html

このたび『幹部レンジャー~』を観てみて、当たり前のことですが、「ああ、やっぱりバラエティー番組でみせるレンジャー訓練はバラエティー番組用のおもしろやさしい仕上がりなんだな」と思えました。ドキュメンタリーではもっと教官たちの言葉遣いが悪かったです、もとい、荒かったです。

「かがみ跳躍」っていうトレーニングあるじゃん? あれなんかさ、たぶん最初の一回を跳んだ途端にものすごい罵倒が飛んでくるの。「跳べよ!」「低いんだよ!」って。私から見たら低くないのに。もう、ほんと、こわいの。可哀想になっちゃうくらいなわけ。

投稿: Reine | 2011/12/23 21:30

あと録音がどういうものなのかわからないのだけど、声が聞こえなくてつらかったです。また、声が聞こえたとしても用語がすぐにはわからなくって困ったので、字幕が欲しくなっちゃったわ。

訓練が始まったしょっぱな―――それはつまり映画が始まってまもなく―――に、学生(「学生」っていっても、つまりその課程に参加してる人のこと)に不手際があったらしくてそれを教官が叱りつけてるのね。

だけど、なんで叱っているのかが私にはわかんなくて……。そこでいきなりもう「やべえ、置いていかれる」っていう気分を味わうのです。

「何故ヨタクしなかったんだ!」とか言って叱っているのは聞こえるんだけど、「……ヨ…タク……?」って感じで、「《預託》って書くのかな?」と思い至るのに時間が掛かるし、「預託」という字がわかったところで「で、何を預けてなかったんだって???」ってキョトンとして観てました。

公式サイトを見てみると、
>しかし初日から預託すべき教室のカギを預けず、教官の怒りを買い、学生全員に反省の腕立て伏せをさせてしまうことに。

って書いてあるから、ああそういうことなのか……とわかったんだけども、「で、鍵を誰に預けてないと何の不都合があるんだって……?」という次元から私にはわからないもんだから、そういうの一つとっても映画についていくのがたいへんでした。


また、「ガイセイなどというのはない」と教官が学生に言い聞かせているシーンでも同じように私は「……ガ…イ…セイ…?」となっていました。直後に教官が「“概ね習得”などというようなレベルでは…」と言い換えてくれたから、「ああ、がいせい【概成】ね?」って見当をつけたけれども。

そんな具合で、私の頭の上にけっこうでっかい「?」がずっと浮かんでいたと思う。日頃、テレビ番組での過剰なテロップ説明が日本人を馬鹿にしてきたと批判してきた私ですが、この作品ばっかりは、音声が聞こえないせいと用語がわからなすぎるせいで、「テ……テロップをくれ……」と思いました。

投稿: Reine | 2011/12/23 21:33

あと、やっぱりバラエティー番組では出てこないであろうシーンもあったよ。

仲間や自分が怪我した時にどういう処置をするかっていうのを勉強するシーンなんだけどね。教官が学生に説明してるの、「腸が出ている者が、『俺の腹、どうなってる?』と聞いても本人に傷口は見せない。『腸が出てるよ』と言ってしまったら、ショックを受けるから」とか、「心臓が停まっている人には、心臓マッサージは行わない。もう助からないから。そこは切り捨てていかなければ」とか。

その辺は、なんだか、もう、黙りこんじゃったわ(←いや、映画館だからそもそも黙ってるわけだけど)


こないだ防大の開校祭に行って学生くんたちの会話を聞いていたら、時刻の言い方が暗号みたいだったのね。なんだったかな、「11:46」だったら「ひとひとよんろく」とか、なんかそんなような言い方をしていたと思います。(←自信ない)

この『RANGER~』においても時刻はその言い方で、「いま11:46だ。これから12:00までになになにをする!」とか言ってるんだけど、いちいちそのヒトヒトヨンロク(?)とかを頭の中で翻訳しないといけなくって忙しかったです。

指で空中に書いてたからね、私。「えーっと?ひと?ひと?よん?ろく?……11:46?」みたいな有り様でした。防大の開校祭でそれを予習してあった私はそんな風にかろうじて《解読》してストーリーについていったけど、あれ、なんにも自衛隊のこと知らない人が観てたって、なんのことやらわかんないと思ったんだけど。

……コンテクストからわかったかな。どうかな。

陸上幕僚監部広報室・陸上自衛隊富士学校広報班が協力している映画だから、劇場公開されたとは言え、やっぱり関係者が観ることを念頭に作ってある作品なのかしら?という気がしました。私のようなずぶの素人が観ることはあまり想定していない感じ。

その置いてけぼり感をにやにやしながら楽しみました。


実際、たぶん映画館の座席の4割くらいは関係者だったのじゃないかね。4割は言い過ぎかな。いや、でも、座席は75席だったんだよね。だったら、うん、本当に4割には達してたかもよ。

だって、入ってくる人、入ってくる人、みんな挨拶し合ってたもん。私はトイレに行きやすいように入り口のすぐそばに居たけど、やたら挨拶してたもん。あれ、絶対、関係者のみなさんよ。


そんなわけで肩身の狭い思いや置いてけぼり感を味わいながらの鑑賞でしたが、私でも笑えるシーンが一つありました。

あれは何というのだろう、「胆力テスト」というのかな? 高いところに張られたロープを伝って歩いて行ったところで命綱を信じて後ろ(?)にボヨーンって落ちてブランブランぶらさがってみせる(?)訓練、あるじゃん?

(⇒ 参照: レンジャー養成教育/ 陸上自衛隊 第7師団ホームページ

あのシーンで劇場中がクスックス笑っちゃうやりとりがあったよ。私もけっこう笑ったし、鑑賞後の一日二日は思い出し笑いでニヤニヤしてた。

ああいうシーンは教官の親心なのかなあと思ったよ。リラックスさせてあげようという優しさっていうか。ツンデレ的な。


あと、岩山を登るような訓練?については「山に入ったらけっこうやさしい」ってメモしてあった。教える人たちが平地にいたときより優しいように見えたよ。……手の位置とか足の場所とか、教えてあげてたし。

危ない場所だからあんまり怖い顔ばかりしているわけにいかないのかな、とか思って見てた。

投稿: Reine | 2011/12/23 22:05

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