門を入ってすぐ、案内図の看板を見て早くも友人二人(Aさん、Fさん)がキャッキャキャッキャ盛り上がっている。

「なになに?どしたの?」
「すっごい広いの! アメフトはアメフト、野球は野球ってそれぞれ専用のコートがあるよ」
「えっ?じゃあ、野球のボールが飛んできてサッカーの人に当たっちゃいそうとかいう心配が無いわけ?」
「無いよ、無いよ。だってハンドボールのコートまであるんだよ」
「ハンドボール部だけのコートなんて聞いたことないわ」
「何曜日は何部が使うのでぇ、とか言わなくていいわけよね」
「すごくない?」
「すごいよね」
最初にことわっておくと、防衛大学校で過ごした一日中、我々3人の会話はずっとこういうキャッキャキャッキャしたトーンでした。だって見るものみんなおもしろいんだもん。
とことこ歩いて行くと、こういうのが置いて(?)ありました。

私たちは防大案内ツアー(←正式名称忘れてしまった)に応募して当選していたので、その案内所に集合。そこでグループ分けされ、首からパスをさげ、出発を待ちます。

もうさあ、一昨日一日何度も思ったことだけどさあ、あたしの学生時代(から社会人になってからもずっとつるんで遊んでいた“環”)の、怠惰で淫奔で放埒な、つまり「自堕落」な空気からはかけはなれた、折り目正しい空間なんだよ。
あたし、防大の学生さんたちほどきびきびしていてさわやかな立ち居振る舞いの若者と会話をしたことって、もしかしたら人生を振り返ってみても一度も無いかもしれない。私の人生ではついぞ出会わなかった立派な人たち。
うん、そうね、一語で言うなら「立派」。
そういう気持ちのいい青年たちにすがすがしく誘導されてグラウンドに行ってみると、観閲式が始まるところでした。

案内ツアーに当選していた私たちは、きちんと座るところを用意していただけました。このような計らいは全く予想していなかったので驚きました。
まずは我々観客もみな起立して、この春の震災の犠牲者に一分間の黙祷を捧げました。
きちんとしたレンズで撮っていないのでよく見えませんけど、だって、いわゆる“メタボ”という印象の子など一人もいないのよ。体つきからだけでも、よっぽどきちんとした生活を送っているのだと見てとれるわ。みんなシュッとしてるの、シュッと。それだけで尊敬しちゃう。

シュッとしてる体つきのこの子たちが、スパスパスパッと動くのよ。端正な身のこなしったら。彼らは手入れの行き届いた刀のように美しいわけ。
この子たちがいてくださればこの国はきっとだいじょうぶって、そんなことを私から勝手に思われても彼らがたいへんかもしれませんが、私は一昨日行ってみて、そう思えました。なんだかホッとすることができたわ。
それで学校長がぐるーっと回って(←「ぐるーっと回る」に相当する単語があったと思うんだけど何だったか…)

学校長はスピーチで震災に言及し、震災当日に防衛大学校の学生のみなさんがどのように行動されたかを語ってくださった。なんて“立派”な子たちだろうかと、ここでもまた“立派”の一語が浮かび、私、正直涙目になった。とてもいいお話でした。
(ただ、この記事で言われていることがもしも本当なら、私はこのひと好きじゃないよ)
そうこうするうちに飛行機が飛んできて、「ど……どこっ……?」っておろおろするくらい速くって。これは二機でハートマークを描き始めたところです。ハートマークが大きすぎて撮れませんでした。

次は5機でなにかしてくれますってアナウンスが流れて観客がどよめいていたんだけど、私はまたもや「ど……どこっ……?」っておろおろしていて。この、真ん中にちっちゃく点々が見えるのがそれです。

そしたらやがて飛んで来て。もう、速すぎてたいへん。いろいろ追いつかない。「すごいねえ」ってしゃべっていようものならその隙に飛んでいって見えなくなっちゃう。

これは、だから、あっと言う間に通り過ぎていった痕跡。

あれ? それでこの一つだけ大きいのは何だったんだっけ? なんかこれだけすごく大きく見えたよ? これだけが近くを飛んでたの? もうね、はしごとかかけたら届きそうな感じのところを飛んでいってくれたようなイメージ。

それで学生さんが隊ごとに行進をしてくれて、防衛大学校儀仗隊のドリルはその後だったかな…? くるくる回している銃の重さは4.3kgですよっていう説明アナウンスを聞いて、「ああ、うちのマミィちゃんの体重くらいかな」などと思ってたんだよね。
アナウンスで、「途中で空砲を一回鳴らします」と前もって説明されていたにもかかわらず、途中でほんとに空砲が鳴ったら「ひゃっ」ってびっくりしていたのは私だけじゃなかったと思うよ。けっこう、周りみんなΣ(゚Д゚;)ギクッってしてたもん。それでそのあと一様に照れ笑いしてたわ。
そうこうするうちに今度はパラシュートで降りてきますってアナウンスが流れ、かと思ったら「いまとびおりました」って言うんだよね。客席もみんな「うぉぉ」って言ってて。そこでも私は「ど……どこっ…?」ってキョロキョロしていた。

そしたらさ、ほんとすっごいなと思ったのはさ、3人がほとんどピッタリおんなじ位置(観客の見ているグラウンドのど真ん中辺り)に着地できるのよね。私、「すごい」「すごい」しか言ってなかった気がする。
畳むのもすごく速いの。

友人のAさんは10年ほど前にも開校祭でこの降下を見ているのだそう。その時は一人だけがちょっと違う方に行ってしまって、どこか引っ掛かっちゃったらしい。その話を私はAさんから何度か聞いている。
だから私たちは一昨日もこの降下を見ながら、「こんな群衆に見守られながら降りてくるのって、緊張しちゃいそうね」「失敗しちゃったらたいへんそうよね」などと話していました。「だって、失敗しちゃったら何を言われるかわからないもんね」「何年も言われそうだしね」と言うと、Aさんが「そうですよ、だって私も10年おなじこと語り続けてますし」って。そういえばそうよね。
そのあとお弁当をいただくことになるのだけどその前にトイレ休憩で、ここはなんだろう、部活の棟なのかな、鍵をあけて入れてくれました。
この時だってさ、「2階にもトイレがありますので」って教えてくれて、「じゃあ……」って我々が2階に向かったと見るや、「もしも2階も混んでいるようでしたら3階もお使いいただけます」って声かけてくれるのよ。
そういう一瞬の心配りが、昨今の二十歳の子にはできないと私は思っているのね。そう言い切ってしまうくらい思っているのね。ほら、たとえば他人のために道をよけてあげるとかいう当たり前の頭の働きと身体の動きね。昨今の若いのはああいうことがほとんどできない人種だと私は思っているわけだけど、防大の子は違うの。防大の子は当たり前にそういう細やかな気遣いができるの。気遣いというのか、予測というのか。この人がこう動いたらこう、ああ動くならこうって考えを組み立てることができるんだと思う。
だから、何度も言うけど、“立派”なんだってば。
防大の学生さんのふるまいをいちいち褒めている流れでは、こういう会話に至ります:
私 「やっぱり日本の若い子を全員こういう環境で学ばせて、心も体も鍛えさせた方がいいと思うんだけど、3……週間くらい」
A 「3週間って短すぎない?」
私 「3ヶ月って言おうと思ったんだけど、3ヶ月はきっと私も無理って思ったので咄嗟に下方修正しました」
F 「reneyamaさん、3週間もつ?」
私 「3日もあやしいです」
「3年はどうですか」
「3年は長いんじゃない」
F 「1年じゃない」
A 「3ヶ月じゃないですか」
F 「3ヶ月だと、春夏秋冬のそれぞれの難所を経験できないじゃない」
私 「やっぱりそれじゃあ1年ですかね」
F 「あ。わかった、つまり真夏から真冬っていうことでもいいわけよ」
というわけで、8月から2月くらいまででよかろうと決めました。
それでこちらは空手のお稽古場だと思うわ。なにか空手の大会があるということで、空手のみなさん(Aさんの御友人も)は東京に行ってしまって留守でした。
自転車で構内を移動していました。だって、すごく広いからそうなるよね
時計台です

私は時計のためだけにこんなに巨大な建物を造るはずがないとにらんでいたので、通りかかった女子学生をつかまえて、「あの時計台は、“時計台”っていうだけの建物なんですか?」と質問しました。「時計台……です…」となにやら怯えた様子の女子学生。
私はさらに、「なにか別の用途が……秘密の機能が……備わったりはしていないんですか?」と聞きましたが、「……いえ特に……」とのお返事。「ほんとに? ほんとに時計台ってだけ?」と更に食い下がっていたところ、FさんAさんがすこし慌てた様子で戻ってきて「なに、学生さんを困らせてんの!」と言い、私の首根っこをおさえるような感じで連れ去るのでした。
「“秘密の機能”があったとして、それをぺらぺら教えてくれるわけないでしょう」と言うのはなるほどと思いました。
でも私たちを案内してくれていたT学生があとで説明してくれたよ。時計台は給水塔も兼ねていること、それから落下実験にも使われるということ、こないだテレビの取材もあったということ、などなど。(参照: 「世界唯一の落錘式大型衝撃試験装置による耐衝撃構造物の研究」)
T学生はなんでもきちんと知っていて、丁寧に説明してくれました。私のどうでもよさそうな質問でも、即答できない場合は「あとで調べてきます」って言うの。「いや、いいです、いいです、だいじょぶです」って止めないと本当に調べてくれちゃいそうだった。
そして私たちはコンビニ・売店のコーナーに行きました。コンビニに入るための行列が長くて驚きました。お昼ご飯は用意して持っていったほうがいいと思います。
校舎の屋上では青いチームが棒倒し直前の最終的なミーティングでもしているようでした。
“ツアー”の順序として、次は紅太鼓同好会の発表を見に講堂に行きました。女子学生のみで構成されている和太鼓グループです。

それぞれの曲の説明を、部員が代わる代わるマイクで説明してくれた。ただしゃべっているだけなんだけど、一人ものすごく痺れる声の子がいた。惚れ惚れする美声。男らしいいい声。女子なんだけど。あんなかっこいい声でしゃべられたらたまらん。「いい声してるなあ」と二度三度唸ったね。身悶えするくらいいい声だった。
それで念願の棒倒しを見ました。これ↓はもう終わったところね。

緑色だから第三大隊だよね。ちょっと私たち勉強したのよ。第四大隊を「オレンジ」って説明しないみたいだった。アナウンスで「だいだい」って言ってたよ。「橙」だよ。「橙」というまろやかな響きを、日常生活で耳にしたのは30年ぶりくらいかも。美しいじゃないか。
私 「いいね、日本語。さすがだね。“オレンジ”なんて、軟じゃk……」
A 「でも、じゃあ、ブルーインパルスは?」
私 「……それはいま言わないでっ」
棒倒しを見ている間もツアーの案内係の学生さんが、ほんとうによく説明してくれるの。
・「あの審判の方も学生さん?上級生の方?」
→ いや、先生たちです。
(というような答えだったと思う。“先生”じゃなくてなんか単語があったんだけどな。教官じゃなくて、なんだったかな。)(追記: “指導教官”だったようです)
・「勝負がついたあとに両手をあげて待ってるのはなんで?」
→ 勝負がついたとなって防御側が体勢を解いたというのに攻撃側が押したり引いたりしたら、棒が思わぬ方向へ倒れたりする。重量のあるあの棒が予想していない方に倒れたらたいへん危険。あの棒は横たえようとして横たえなければならない。横たえる“作業”を待つ間は、もう誰も押さないことを明確にするためにああやって手をあげている。
・爪とか検査するんだよね
→ 「爪がきちんと切ってあるかどうかはチェックされます」(※実際、学生が審判に一人ずつ順に手指を見せているシーンもありました)
・テーピングしてるね
→ 「小指ってどこかに引っ掛かってすぐ折れちゃうじゃないですか。だから小指と薬指はテーピングで固めてあります」
というのをすごく爽やかな笑顔で語るので「ふむふむ」「ほほう」「なるほど」って聞いてたけど、あとでふと我に返ったんだけど、……小指って「すぐ折れちゃう」もの?
・今年はルールが少し変わったとかで、殴ったりはしてはいけないとかで?
→ 「いや、でも、昨年までだって殴ったりはたしか禁止されていたんですが」
……と学生さんが言うので、「去年のyoutubeのを見る限りでは。ぶん殴るのが禁止されているとはとても思えないような殴りっぷりだったけど?」とつっこむと、「やはり興奮状態にあるので、それは、まあ、ついそういうことになるんだと思います。骨折していても構わずやっていますから。後で『君、ここの骨、折れてるね』と指摘されてやっと気づくくらいなので」。
少林寺拳法部の発表を見ました。案内係の学生さんが「日本一なんですよ」「日本一ですよ」と強調してくれるのが微笑ましかった。
それから防衛大学校應援團リーダー部も見ました。應援團の人、あの姿勢をキープするのってすごいたいへんだと思うのね。だってすっごい長い間プリエ状態だったよ。ヨガラティス Vol.3 お腹・お尻・太もも パーツ別エクササイズ [DVD]
でプリエをするくだりがあるので、あたし知ってるもん。
AさんとFさんの席に近いところにいた案内係の学生さんが説明してくれたらしいのですが:
4月に入校してしばらくは上級生はみんなすごく優しいって。防大生は全員が運動部に所属しなければいけないらしく、4月のその時期は勧誘する側もいっしょうけんめい勧誘するって。その時期は上級生はみな優しく、「うちはぜんぜん上下関係なんかうるさくないから」とか「いやあ、和気藹々とやってるよー」などと甘いセリフで誘うんだけど、入部したらそれまでの優しさは嘘のようだって。
嘘“のよう”っていうか“嘘”だったんだろうね。どこの部活も厳しいことにはかわらないのだろうけど、應援團に関してだけは誰も彼もが誠実に真剣に「あそこはやめておけ」って止めてくれるらしいです。
そして表彰式もたいへん面白く観ました。講評も面白かったです。学校長は第一大隊が勝つかなあと思っていたけど、ゲストの進次郎氏は第三大隊が勝つって予測していたんだとか。「結果は、政治家の(読みの)勝ちでした」って言ってました。(⇒棒倒し」@防衛大学。|小泉進次郎オフィシャルブログ「日本の政治を未来のために~自由民主党~」Powered by Ameba)
案内係の学生さんたちとおしゃべりをしたあと、我々は帰途につきました。

ちっちゃいもの大好きな私のおみやげは防衛大学校キューピーちゃんと、陸自キューピーちゃんつきボールペンです。

(次回は花火も見たいと思います)(次回は仕事などの状況次第ですが、できれば土曜・日曜と両日行こうと思います。そしてそのために宿をおさえようと思います)
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